“躁”“うつ”を安定させる「気分安定薬」の分類と特徴

気分障害とは

「うつ病」「躁病」「躁うつ病」は〈気分障害〉という概念に含まれます。

気分障害という呼称は最近の表記で、少し前までは感情障害と呼ばれていました(表記が変わっただけであり、内容や診断基準などに変更はありません)。

「単極性気分障害」と「双極性気分障害」

うつと躁をそれぞれ両極と考え、そのどちらか一方のみの異常を示すものを「単極性気分障害」といい、ともに異常を来すものを「双極性気分障害」といいます。

近年、うつ病の啓発活動がすすんだ結果、精神科•心療内科を受診するうつ病•抑うつ状態を呈する患者さんは多くなっていると思います。

私の臨床の経験上では、躁うつ病の患者さんはうつ病 に比べて少なく、躁病を単極性に示す患者さんはさらに少ないと思います。

気分安定薬

さて、「気分安定薬」と聞いたら、どういったものを想像するでしようか。

言葉だけで解釈すると、リラックスさせる作用をもつ薬、というイメージを抱く方が少なくないようです。

しかしここでいう気分とは、“躁”と“うつ”の気分そのものを指します。

そしてそれを安定化させる薬剤を気分安定薬(mood stabilizer :ムードスタビラ イザー)と呼びます。

気分安定薬と抗うつ薬共に働き

といっても、気分安定薬は躁やうつを単独で治できるほどのパワーをもっているわけではあ
ません。

気分の変調を是正するために投与した抗うつ薬を「増強する薬剤」、または「維持期の再燃を予防するための薬剤」というふうにとらえていた だければよいかと思います。

日本で処方される気分安定薬の3種類と特徴

気分安定薬とされる薬剤のなかで、日本で処方できる薬剤は3種類です。まずはカルバマゼピンとバルプロ酸ナトリウム。この2つは、主に「抗てんかん薬」として使われている薬です。もう1つは炭酸リチウムです。

臨床経過報告などから、気分の変調は一度起こるとそのこと自体が次の変調の呼び水になるということがわかっています。

カルバマゼビンやバルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬は、脳の細胞膜の電位を安定化させることで、脳内の信号伝達のイレギュラーな活動を抑え再燃を防止している可能性があります。

炭酸リチウムの作用機序には不明な点が多いのですが、リチウム塩の分子は小さく、脳への移行が容易であると考えられ、また急速充電と放電が可能な高性能蓄電池に使われるほど電気的な安定しやすいので、脳の電位を安定化させるのではないかと考えられています。

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