老年期にみられる夜間せん妄の治療法は、「生活改善」と「薬物療法」が基本的です。

夜間せん妄の原因

夜間せん妄は、せん妄のなかでも夜間に起こるものをいいます。せん妄は意識の混濁が原因で す。低覚醒により、激しい精神運動興奮を起こします。子どもが寝ぼけている状態(低覚醒状態)で、何かに驚いてパニックを起こす様に似ています。

このような状態では外界から入ってくるさまざまな情報が適切に処理できないために、不安や恐怖が極限に達します(いきなり言葉も知らない 外国の街角に1人で放置された状態を想像して みてください。そんな状態の何倍もの怖さがせん 妄状態の不安だといわれています)。

特に夜間に現れやすいのは、夜になると生理的に眠気が出て低覚醒となり、視覚情報が減ってくるため、せん妄が起きやすい環境となるからです。

なお、ベンゾジアゼビン系の抗不安薬による過鎮静によってせん妄様の症状が出たり、睡眠導入薬の効果の遷延が原因でせん妄様の症状が出ることもあるので、そうしたことが原因になっていないか、注意して鑑別するようにします。当然ながら、それらが原因と考えられる場合の対処方法は、抗不安薬や睡眠薬の中止です。

生活改善と薬物療法が基本

老年期にみられる夜間せん妄の治療法は、「生活改善」と「薬物療法」です。

生活改善は、薬物療法の効果を最大限に上げるためにも必要です。具体的には夜間にしっかりと 睡眠が誘発されるように、昼間の活動性を上げることです。

薬物療法の第一選択は、脳循環代謝改善薬でドーパミン受容体遮断作用のあるチアプリド(グラ マリール®)という臨床医が多いようです。

次に少量のハロペリドールや、非定型抗精神病薬を試みる (適応は統合失調症のみではあるのですが)という意見が多いようです。

私の場合はこれ以外にドーパ ミン拮抗作用のあるbenzamide系抗精神病薬であるスルピリド(ドグマチール®を使うこともあります。

なお、このような夜間せん妄などへの薬物療法として高齢者に抗精神病薬を使う際には、副作用が出ていないかを十分に観察することが大切です。

そして期待する効果が得られているかをきちんと判断していくことも重要です。効果が得られていないのに抗精神病薬を漫然と使うようなことは避けなければなりません。

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