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睡眠薬へのQ&A 睡眠薬を飲むと副作用で死んでしまう?

Q:睡眠薬を飲むと副作用で死んでしまうのではないか?

A:最近の映画やTVドラマであまり見かけなくなりましたが、以前は睡眠薬の大量服用が自殺手段の代表と言っても過言ではありませんでした。

このイメージが色濃く残り、このような質問が寄せられるのではないかと思います。

バルビツール酸系の睡眠薬が主流だった時代は一度に大量に服用することで中枢性の呼吸抑制から死に至ることがありましたが、現在処方される睡眠薬はほとんどが改良されたベンゾジアゼピン系睡眠薬ですから、薬剤に対する過敏症やショックを引き起こすと言う非常に稀な例を除けば、処方通りに服用していて生命に問題が生じることはないと言えるでしょう。

Q:睡眠薬を飲むとほげる?

A:なぜこのような間違ったうわさが出てきたのでしょうか。

私の恩師は「統合失調症の患者さんによい治療がなかった頃、陰性症状を改善することができず、荒廃するのを観手いるだけという悲しい時代があった。その頃は鎮静のために睡眠薬を使うことも多かったから、陰性症状が睡眠薬起こったと思われていたのかもしれないね」と話します。

他に「持ち超し」を生じさせると、昼間も眠気やだるさがひどく、快活さが感じられずにいる様子をぼけたと感じたもかもしれません。

バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系のいずれの睡眠薬であっても、決して脳に変性を起こさせたり、認知症を招くことはありません。

持ち越し、筋弛緩、反跳性不眠、アルコール依存症と子供の奇形障害から睡眠薬の副作用を分析する

処方薬には必ずその薬剤の効能、用量、副作用(有害事象)、禁忌などが」かかれた添付文書(説明書)があります。それらに記載されている睡眠薬の服用における注意事項を以下に表示しています。

睡眠薬の副作用:

1.持ち越し・・・寝ぼけの状態を引き起こす

持ち越しとは、ときに長時間作用型の睡眠薬に多くおきる現象です。

一度覚醒しても催眠の効果が持続してしまい、寝ぼけのような状態を呈することをいいます。

短時間作用型でも、代謝能力が低下している高齢者には出現しやすいので注意が必要です。

また、この持ち越しによって精神作業能力が低下する恐れがあるため、少しでも持ち越しの症状を呈する場合は、車の運転や危険を伴う作業は避けさせるべきです。

2.筋弛緩作用・・・転倒の危険性を高める

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は筋弛緩作用も有しており、その作用は高齢者に強く現れます

トイレに行くために、歩いた際や徘徊中に転倒し、骨折する危険性がある(大腿骨頭骨折が多い)ので注意します。

実際に筋弛緩作用が認められたときには非ベンゾジアゼピン系睡眠薬へ変更するなどの対応が必要です。

しかしながらベンゾジアゼピン系では催眠効果が得あられない場合もあり、その場合はベンゾジアゼピン系に戻さなければばりません。

そうなればどれほど注意しても筋弛緩による転倒の可能性が高まりますので、夜間に離床することを少なくする工夫が重要となります。

高齢者施設などでは、夜問にトイレに立たなくてずむように水分摂取のタイミングを工夫したり、就寝前にトイレに行く習慣づけを行うようにし、中途觉解を少なくする工夫をしているようです。

ケアを行う人のこのような工夫でかなりの転倒事故のリスクが軽減されていると思います。

3.反跳性不眠・・・急に服薬を中止すると不眠になる

睡眠薬の服用で難しいのは、急に睡眠薬の服薬を中止すると、リバウンド現象として不眠を生じる場合があるということです。

これは生体内でのリズムやホメオスターシス(恒常性)が急激に変化することで起こるので、睡眠効果時間が短い薬剤、つまり超短時間や短時間作用型の睡眠薬服薬で起きやすくなります。

4.アルコールとの相互作用・・・奇異反応や健忘を引き起こす

睡眠薬で問題となる事象の多くはアルコールとの併用によるものです。

アルコールには睡眠を促進するかのような誤解があります。

このような誤解によって睡眠薬の効果が不十分なときに、「追加頓服」くらいの軽い気持ちでアルコールを摂取する人がいます。

しかし、高用量の睡眠薬とアルコールとを併用した場合に、逆に不安・焦燥の症状が顕著に出現し、怯えるような奇妙な反応を起こしたり、攻撃的になることが実際にあるのです。

これを奇異反応といいます。また中途覚醒したときのことや、覚醒してしばらくの間の出来事について記憶がないという健忘が現れることがあります。

不眠とアルコール依存症との関係

不眠とアルコール依存症との関係は深く、不眠をきっかけにアルコールを飲むようになり、次第に乱用し、アルコールへの依存を形成してしまう場合や、アルコールの病的飲酒後の離脱症状のひとつとして不眠を呈する場合があり、“卵が先か鶏が先か”判別のつかない不眠が非常に多く見られます。

薬理学的にはアルコールと睡眠薬は交差耐性(アルコールに対して耐性を獲得すると睡眠薬に対して耐性も獲得してしまうこと)があることが分かっています。

ですから、アルコールに対して依存性の治療に不慣れな精神科医のなかに、“睡眠薬”を飲むほうが、 “アルコール”を飲むよりはまだ安全だろうと考え、安易に睡眠薬を処方してしまう医師がいることです。

このような場合、結局アルコールを断っても睡眠薬が手放せない“処方薬依存”となってしまうケースが非常に多いのです。

このような問題を予防するために私は、アルコール依存症の治療においては疾病教育の段階で、「睡眠薬を併用してはいけない」ことや、その理由について必ず触れるようにしています。

不眠時でできるだけ睡眠薬を使わないようにし、やむを得ず処方する場合でも依存になりやすい短時間作用型を避け、処方時間をできるだけ短くするなどの工夫をしています。

5.子供の奇形障害・・・妊娠可能性がある女性への投与を避ける

昔、サリドマイドという睡眠薬がありました。妊娠初期に服用すると胎児に奇形障害が生じることが判明し、睡眠薬としての使用が禁止になっています。

現在、睡眠薬に関わらずほとんどの薬剤は、この催奇性の問題を考慮し、妊婦及び妊娠の可能性がある女性に対しては投薬を避けるよう注意が促されています。

薬の安全性が重視されるようになった背景にはこのような悲しい出来事があったということを知っておいてほしいと思います。

「ベンゾジアゼピン系」睡眠薬の分類と現在、多く処方されるものを紹介する

睡眠薬にはたくさんの種類がありますが、現在の主流は「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」です(一部、「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」を使用することもあります)。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の分類

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、血中濃度半減期によって4つに分類されます

血中濃度半減期とは、その薬が吸収されて最高値に達した血中濃度が半分になるまでの時間のことを表しており、「超短時間作用型」「短時間作用型」「中間作用型」「長時間作用型」という4型に分けられます。

それぞれの血中濃度半減期は、超短時間作用型が約2~4時間、短時間作用型は約6~10時間、中間作用型は約20~30時間、長時間作用型はおおよそ30時間以上です。

臨床現場は多く処方される睡眠薬を紹介する

臨床現場は処方される機会が比較的多い薬剤と上記の分類を以下にまとめました。
半減期による睡眠薬の分類

超時間作用型

トリアゾラム(ハルシオン®)、ゾピクロン(アモバン® )、ゾルピテム(マイスリー®)

短時間作用型

ブロチゾラム(レンドルミン®) 、ロルメタゼパム(エバミール®) 、リルマザパン(リスミー®)

中間作用型

ニトラゼパム(ベンザリン®)、フルニトラザパム(サイトース® 、ロヒプーニル®)、エスタゾラム(ユーロジン®)

長時間作用型

フルラザパム(ダルメート®) 、クアゼパム(ドラール®)
❀現在比較的よく処方される睡眠薬を中心に

不眠を訴える人が増えている 睡眠薬を効果的かつ安全に服用するために

近年「不眠」を経験する人が徐々に増加しています。

ある調査では、5人に1人が不眠を経験しているという異常な事態にあります。

多く人は不眠を訴える

精神科や心療内科にかかる外来患者の多くも不眠を訴えます。

精神科医寮に睡眠の問題はつきものといっても過言ではないでしょう。

入院している患者さんのほとんどは就眠前に何らかの投薬を受けて不眠を防ぎます。

看護師さんでしたら、夜勤のときに患者さんの不眠に対してアセスメントをしたり、対応を迫られることが多いと思います。

また、シフト勤務で働く人は、少なからず睡眠障害を経験しているのではないでしょうか。

不眠の原因

不眠にはさまざまな原因がありますが、“眠れない”という自覚自体がストレスとなり、そのストレスが緊張状態を誘発し、さらに眠りにくい状況を引き起こしていることが非常に多いようです。

睡眠薬の作用機序

睡眠薬はこの緊張、つまり神経の興奮を抑え、リラックスさせることで自然の眠りを発見させるように薬理的にデザインされています。

ですから、強制的に脳を眠らせるほどの力は持っていないということをまず知る必要があります(もちろん過量に服用すれば、強制的にの機能をダウンさせることはできますが。

睡眠薬を効果的かつ安全に服用してもらうために

睡眠薬を処方する際、私はこの点を説明し、睡眠薬を効果的かつ安全に服用してもらうために、以下のように説明を付け加えています。
✲音、室温・湿度、寝具など、できる限り眠りを得やすい環境を整える睡眠環境整備が重要です。
✲必ず眠れると思って、リラックスして睡眠に臨んでみてください。
✲睡眠薬は基本的に、“睡眠のスイッチ”を入れてくれるだけものです。
✲自分で眠れる機能が失われたわけではありません。
✲眠れそうなときに無理に睡眠薬を服用する必要はありません。
✲効果が実感できない場合でも、自己判断で増量しないでください。