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抗てんかん薬へのQ&A てんかん発作は治まったのですか、眠気が出てつらいときがあり、このまま続くのでしょうか?

Q:抗てんかん薬を飲んで以降、んかん発作は治まったのですか、眠気が出てつらいときがあり、眠気はこのまま続くのでしょうか?

A:抗てんかん薬に限らず、精神科で処方される薬の多くに、副作用として眠気がみられます。この眠気は、 服用したすべての人に起こるわけではありませんが、私の経験では服用初期には8割近くの人が眠気を訴えます。

その後徐々に眠気が軽くなり、さほど気にならないレベルになることが多いのですが、そのまま続く人もいます。

てんかんの治療は、眠気と発作のコントロール、そしてその他の副作用などをすべて考慮した 上で、生活する上で一番よいと思われる絶妙なところを探す治療です。

どんなにうまく調節しても眠気を完全に取り除くことができない場合もあります。ただ、生活が困難になるほどの眠気がある 場合は調整が必要だと思いますので、担当医に相談してみてください。

 

Q:長らく発作は起きておらず、薬の種類や量も変わらなくなりました。それでも、定期的な血中濃度測定は必要ですか?

 

A:血中濃度が治療において必要とされている薬剤では、処方が変わらなくなった時期(維持期)でも血中濃度を測定し続けます。

多くは、薬剤が症状をコントロールできているかどうかをチェックするため、そして中毒(過量)域になっていないかをチェックするために行います。

てんかん薬の血中濃度を測定する意義は3つあります。

1.抗てんかん薬が、本当にてんかん発作をコントロールできているのかを確認するため(偶然発作が起きていないのではなく、抗てんかん薬の効果により発作が治まっていることを確認するため)。

2. 中毒(過量)域になっていないかをチェックするため。

3. 服用した量に対して血中濃度がいつも同程度の比率であるかをチェックするため(吸収や代謝に問題があると、比率が変化する)。

このような理由により、抗てんかん薬は血中濃度測定を継続する必要があるのです。

 

自己判断で抗でんかん薬を中止することがとても危険だと考える

抗てんがん薬の中止を考える?

医師の判断ででんかん薬を中止する

てんかん患者さんの発作の型や年齢などによっで治療の計画は異なります。

なかには抗てんかん薬を生涯にわたって服用する場合もありますが、概ね治療を開始してから3年以上発作がなくかつ定期的な脳波検査の所見で発作波がない場含は、減量しはじめる医師が多いようてす。

これについては特にガイドラインなどはなく、各治療者の判断に委ねられています。

私の場合は、抗てんかん薬の中止を考えて減量をはじめるのは、やはり薬を開始してから3年以上発作を認めない場合、としています。

減量方法

減量方法は各患者さんによって異なりますが、発作の再発、血中濃度の変化、脳波検査の結果に 注意しながら、6か月くらいかけて中止していきます

なかには途中で発作が再発したり、中止後しばらくして再発するケースもありますが、その際は以前投与していたものと同じ抗てんかん薬を、できる限り少量で再投与して経過観察します。

自己判断での服薬中止が危険な理由

てんかんの治療は多くのケースで長期治療となります。

抗てんかん薬の治療の目的は発作が起きないようにコントロールすることですが、発作が起きない期間が長くなると、どうしても抗てんかん薬の服用と発作のコントロールの関係が実感できなくなることや、治ったと思い込み、自己判断によって服用をやめてしまったり薬を減らしてしまうことがあります。

私の経験では、このような自己判断での中止や減薬をすると、必ずといっていいほど発作は再発します。

また発作が再度起こってしまったことで、再度同じ種類と量の抗てんかん薬の服薬を再開しても、以前のように発作がコントロールできなくなるケースが少なくありません。

ですから、抗てんかん薬は絶対に自己判断で飲んだりやめたりせずに、服薬を遵守することが大切なのです。

多くの種類で使用する頻度が高い抗てんかん薬は?

てんかんの薬治療は多剤併用療法の時期が長く続きました。

各薬剤のそれぞれの有効性は、併用することで加算されると信じられていたからです。

現在では単剤または2剤までの薬物療法が一般的です。

てんかん発作の種類によって分類

多くの抗てんかん薬は、てんかん発作の種類によって細分化して適応を決める方法をとっています。

その方法はオーソドックスで確実ですが、解説を読むと適応薬剤は重複する部分が多く、てんかん治療を専門に扱う医師や難治性でんかんでなければ、商法しないような薬剤もあります。

ですから、個々では臨床現場で処方率が高く、かつ有用性の高い薬剤を選んで解説することにしましょう。

現在臨床で使用する頻度が高い抗てんかん薬

私の経験では、以下にあげた主な抗てんかん薬の中でも、現在臨床で使用する頻度が高い抗てんかん薬は、

①バルプロ酸(略称:VPA、商品名:デパケン®、セレニカ®)

②フェニトイン(略称:PHT、商品名:アレビアチン®、ヒダントール®)

③フェノバルビタール(略称:PB、商品名:フェノバール®)

④カルバマゼピン(略称:CBZ、商品名:テダレトール®)

てんかんの発作型別に選択する抗てんかん薬

以下にはてんかんの発作型別に、この4剤を主軸に私が抗てんかん薬を選択していく際のおおよその目安を示しました。
1.部分発作

単純発作:カルバマゼピン、フエニトイン、バルプロ酸のいずれか

複雑部分発作:①カルバマゼビン
②①が不適の場合フエニトイン、バルプロ酸のいずれか

2.全般発作

欠神発作:バルプロ酸、トリメタジオン、エトスクシミドのいずれか

強直間代発作:バルプロ酸、フエニトイン、カルバマゼビンのいずれか(小児の場合フエノバルビタール)

ミオクローヌス発作:バルプロ酸、クロナゼパムのいずれか

★基本は単剤での治療だが、効果不十分の場合はゾニサミドゃクロバザムを併用投与する

てんかん発作型分類 側臥位にしての気道確保であり、それが第一だ

てんかん発作型分類

てんかんにはいくつかの分類法がありますが、発作の起こり方(始まりかた)を元に分類した「てんかん発作型分類」を頭に入れておけば十分でしょう。

部分発作

部分発作は、意識消失を伴わないものを“単純発作”、意識消失を伴うものを“複雑部分発作” といいます。

分類

単純発作:意識消失なし、部分けいれん

複雑部分発作:意識消失あり、自動症(意識がないままに単純な動作を続ける)

全般発作

全般発作は、脳全体が一時的に機能を失うため、多くの場合に意識消失を伴います(稀に意識消失がないケースも存在します)。

分類

欠神発作:いわゆる小発作、突然の短い意識消失

強直間代発作:いわゆる大発作

ミオクローヌス発作:短い時間の攣縮性けいれん

“小発作”の特徴

“小発作”の特徴は、非常に短い時間(数秒ほど)の意識消失です。

そのときは口を開けて一点を凝視するような、いわゆる“ぽかん”とした表情をしています。

本人は当然のこと、周りも発作とは気づかないことが多くあります。

この発作は幼少時によく起こるのですが、この発作をみて注意散漫な子どもということで片づけられている場合も少なくありません。

“大発作”の特徴

“大発作”は、脳全体に電気変化が波及し(全般性)、筋肉が硬直(強直)し、律動的(間代)にけいれんを起こす発作です。

一般的なてんかん発作のイメージはこの大発作ではないでしょうか。

急激に全身の筋肉が強直する際、腹筋と肋間筋が締まり、腹膣内圧が上がり空気が一気に押し出されるため、発作時にうめくような叫び声になることがあります。

その後転倒し、次いでけいれんがはじまりまず。

筋強直とけいれんにより呼吸が止まるためチアノーゼが起こりますが、発作は数分で治まります。

多くは脱力後に意識のない状態で、ため息のような声を伴つた大きな呼吸をします。

また、尿•便失禁がみられる場合があります。

発作したらどうすればいいか

発作時は舌を嚙まないようにバイトブロックすべきかということをよく質問されますが、これは事故のもとです。

施術者がケガをしたり、バイトブロックがうまく納まらず患者の口腔や顎や歯を傷つける恐れがあるからです。

発作時にできることは、側臥位にしての気道確保であり、それが第一です。

その他に気をつけることとして、意識が戻った際は筋肉が随意に動きにくく、ふらつくのでしばらく安静にしてもらうことと、傾眠状態にあったり逆に興奮したりすることがあるので、周囲から危険物を取り除くといった安全確保を行うことです。

重積発作へと移行する可能性がありますので、発作から一度回復しても、即、医師に診察を依頼してください。

抗てんかん薬を処方するときに必ず伝えたいこと

現在、てんかんを治療する主な方法

少し前でもてんかんの治療といえば精神科で行うのでしたが、現在では小児科や脳外科が協力して治療を行うようになっています。

さらに薬物療法生活指導による治療計画がすすんだことから、症状がよくコントロールされたケースが増えています。

しかしながら重積発作(連続して発作が起こり、けいれんが止まらず意識消失が30分以上続くような発作。

少しの間はとまっえもすぐに次の痙攣が始まる場合を含む)による入院や、身体管理のための入院、精神症状を伴って入院を必要とするケースは、逆に対応が複雑で治療も非常に難しくなっているといえるでしょう。

抗てんかん薬を服用した患者さんの感じ

抗てんかん薬を服用すると、患者さんはどのように感じるのでしよう。

私が担当した患者さんの多くは、個人差は大きいものの、服用をはじめると第一に眠気とだるさを訴えます。

興薄を抑える薬ですから、発作の発端となる部位以外にも作用し、脳全体の活動(神経の興奮)を低下させるために眠気やだるさを感じるのです(副作用の程度と期間には大きな個人差 があります)。

ですので私は、患者さんに抗てん かん薬を服用してもらう際は、こうした不快な症状が起こることをあらかじめよく説明するようにしています。

副作用による用量や種類を変更する

また、副作用が耐え難いほどひどいと感じる場合は用量や種類を変更することもあるので申し出てほしいと伝えます。

その目安としては、
*生活に支障が出るほどの耐え難い眠気
*歩行困難となったり転倒するほどのふらつき
*服用して1か月経っても眠気やだるさが一向に軽減されないなどです。

 

発作する状況

抗てんかん薬は発作を予防してくれるのですが、本人にとっては予防よりも眠気やだるさのほ うが気になってしまうことがあります。

また、発作により意識消失を起こしていると、その怖さや二次的に起こった怪我などを記憶できていない場合もあり、そうなると抗てんかん薬を服用する苦痛のほうが勝り、服用が中断されるというケースがしばしばみられます。

ですから処方する際は、てんかんという病気についてや、服薬の必要性や薬の作用機序までをしっかりと説明しておくことが重要です。